鬼怒川 hotel restaurant KEI

概要

OUTLINE

会員制リゾートホテルのシグネチャーレストランであるKEI。クライアントは不動産事業をベースにウェルネス事業を多角的に経営されています。前職で業務をお受けしていた事もあり、私は引き続きクリエイティブディレクションで事業をサポートすることになりました。新築のホテルという事もありスタートが2020年で完了まで約2年かかったプロジェクトです。

ホテルは鬼怒川の中心地から少し外れた静かな場所に計画されていました。レストランはホテルのロビーの上階、天井高さのある窓から鬼怒川の渓谷が広がる空間。テラスエリアにも歩いて出て行くことが可能なホテルの中のハブ、外と中の中間地点に位置しています。目の前には荒々しくも美しい景色が広がり、レストランはその景色を取り込んだダイナミックなものになるべきではないか?と今も建築前の現場打ち合わせのブレストで話したことを思い出します。

「境界を曖昧にする」レストランコセンプト

BLUR BOUNDEREY

設計会社のデザイン依頼前、最初に私たちは食と空間全体を俯瞰するコンセプト作りに多くの時間をかけました。私たちが選ばれたのは“自社では思いつかないアイデア”を形にすることだとだったので、顧客の求めるニーズ×競争に勝てる個性=BRANDとして上質かつ新たなコンセプトを探すことをスタートしました。着目したのはレストランとスーベニアショップ、ロビー、そして鬼怒川の渓谷との位置関係でした。その関係はちょどレストランは全ての境界の上に存在している、ということでした。

ふだん人は意識の境界を作って生活しています。あなたと私、お客さんと従業員、外と中、厨房と客席。そんな境界を取り払ってみたら新しい発見があるのではないか。それをレストランの提供価値として、空間演出に活かせないかと考えました。コンセプト“境界を曖昧にする”という言葉に私たちが表現すべきことを集約しました。

厨房と客席の境界を曖昧にするライブキッチン

内部と外部を曖昧にするピクチャーウィンドウ

ホテルの一体感を高めるか限りなくオープンなゾーニング

上記の3つをデザイン指針としてディレクションを行いました。

厨房は料理人が目の前で調理を仕上げるステージとして設計し、没入感のあるライティングや手元の見えるカウンターを作りました。大谷石を客席から厨房へ繋ぐことも境界を曖昧にするコンセプトからこだわった点です。この場の一番の価値である景色を見せる席を多く作り、窓を大きく外部の緑を取り込むデザインをしています。なるべく意識を外に向けられるようにサッシを細くし、床と天井に埋めるようにしています。通路からはキッチンの炎が見える演出としてシームレスにレストランへつながるように間仕切りの少ない空間としています。奥の席からはロビーが見下ろせるのでレストランの心地よい喧騒がロビーのゲストたちにも伝わる仕掛けとしています。

原始の記憶火を取り込む調理と厨房

 MEMORY OF PRIMITIVE

今回のレストランでは3つの火を使っています。薪火の釜、石の藁火、囲炉裏です。それぞれ違った火の形や香りをオープンキッチンで楽しむことができるのが一番の特徴です。都心のレストランでは中々味わうことのできない原始の火の力を温泉の癒しと共に味わっていただけるのが、ゲストにとって旅の醍醐味となると思い、空間演出にも活かせる様なプランニングをおこないました。

CLIENT

HOTEL DEVELOPER

BUSINESS SCOPE

  • MARKETING & PLANING
  • PROJECT MANAGEMENT
  • DESIGN DIRECTION