TEA HOUSE OMOTESANDO

概要

はじめに、クライアントは日本で開発されたアンチエイジングのための基礎化粧品を中国で販売し大きな反響を得て、日本でのフラッグシップを作ることになったいわゆる逆輸入ブランド。既存のB1、地上3Fの表参道に立つ商業ビルに、オフィス、物販、飲食、リラクゼーションスペースを作る計画だ。

私たちはコンペにて選出されたチームで業務に臨んだ。ブランディングにCOTONAの片岡さん、設計はANEUの小坂井さん、ともに同年代で以前からの知人であり、コミュニケーションが取りやすい面と業務に適していると判断いただき私もチームに加わった。

私は2F飲食エリアのプロデュース、3Fリラクゼーションスペースのドリンク開発を担当。

ブランドの核となるキーワード「抗糖化」は茶葉に効果があるといわれており、お茶を軸にして「抗糖化」素材を使った菓子を提供するカフェスタイルということは早々に決定した。ただし元が飲食ビルではない設備制約、料飲経験がないクライアントとの協業とさまざまな条件をふまえてコンセプト、商品開発を行う必要があった。

スキル+信頼できるチーム

食チームの編成はこのプロジェクトの肝になると考えた。私がプロデュース業務を行うときはクライアントの食チームへJOINするか、自分で作ったチームごとJOINするかの2パターンある。今回は後者。ドリンクとフードそれぞれにビジュアル感度が高く、複層的な味覚の組み合わせができ、食材に精通している飲食企業ではないチームとマッチするメンバーを選定した。

ドリンクのメニュー開発は日本を代表するミクソロジストの南雲さん。付き合いは6年ほど前に300席を超える複合型ナイト施設、ハードワークなプロジェクトで一緒に戦った仲間でもある。店舗を複数経営し海外の視点ももつ彼はオペレーションまで踏まえた提案をくれる、とても信用できるメンバーだ。

フードメニューの開発はJOHNの吉村さん。年齢は若いがデザートコース専門店を鶯谷でオープンさせた経験値とセンス、自分のイメージを人へ伝播できる良いパティシエだ。なにより私は彼の作るデザートの捻っているアイデアが好き。商品開発や海外とのコラボレーションなど活躍の場をどんどん広げている。

プロダクト開発

デザート、ドリンクともにメンバーの了承を得て、開発の指針および何を提供する場所なのか?というイメージを具体化することに時間をかけた。メンバーの力を最大限に引き出すための必要なフェーズだ。

ブランドの世界観を体験していただくことが目的であり、飲食業の常識にしばられない開発をおこなうため、3つの開発テーマを元に店舗を構成した。

◯PARTS OEMを前提としたメニュー開発

◯ゲストに伝わるビジュアル/カラーデザイン

◯旬の抗酸化食材をなるべく使用

上記を大切にしながら、「気軽に抗酸化を知る、ブランドならではのTEAHOUSE」として開発を進めた。

ドリンクは10メニュー、季節アイテムを4、香りを楽しむお茶を3、ホットのハーブティーを3種。顧客にとっての飲みやすさ、使い勝手に対応できるよう幅広い商品構成を心がけた。季節アイテムはカクテルを構築するようなレシピ、食材の組み合わせで、リキュールに当たるベースにジャスミンや緑茶など様々なお茶とフルーツ、ハーブを組み合わせた複雑味のあるドリンクを開発。

フードは抗酸化効果があるとされる食材と、味のエッジ、カラーのバランスと食べ難くないことを前提に開発した。チョコレート×こしあん×ごぼう、柑橘×ローズマリーなど、掛け合わせによる味の変化が楽しめるプロダクトを開発、パーツごとにOEMなど工夫して現場での運営負担を軽減。

職人の技をエレガントに表現した茶空間

設計をANEU小坂井さんが担当、空間は日本の伝統工芸、手仕事の感じられる世界観。

壁には絹を使ったクロスをグリーンのグラデーションで配置、カウンターやテーブルは奈良の木工作家、森さんの鉋仕事ののこる、柔らかい仕上がり。キッチンがクローズになるので、外の様子が見える窓も可愛くつくってもらった。ファサードの光が柔らかくテーブルや壁に落ちて、美しい風景を作り上げた。

食器、備品類もなるべく日本で作られたもの、職人の手が入ったアイテムを使用しました。

木盆はブランドロゴの形に近いもので輪島の木工所さんのもの、ホットティーは職人が一つ一つ手作りした一点もので、スタイリッシュな形ですがエッジに温かみを感じるアイテム。ノイジーな感覚を消すため、持ち手がひんやりしないシルバー類、カリカリとした不快な音が少ない器類なども気をつけた部分です。

ドリンクはほぼ久村硝子さんのアイテムをメインにセレクトしました。薄いけれど丈夫で、独特のてざわりのよい形状がドリンクの色の変化、香り、味を引き立てます。

リラクゼーションスペース

飲食の上階、最上のリラックス体験を提供する空間では「瞑想ドリンク」とネーミングした最上級の玉露を三煎提供。

玉露はローズヒップ、柑橘ピール、ミントを入れるなど、杯数を重ねるごとに、テーマも味覚も複雑に変化するレシピを開発。宝瓶という玉露を美味しくいただける独特の浅型の急須を使用して提供。ミリグラム、1秒の単位まで管理された玉露は日常から切り離された独特な世界観を演出する。

水盤に光が反射し、天井に映る。水面の光をぼんやり眺め、リラックスチェアに深くもたれかかる。表参道の喧騒からは隔絶された空間で気持ちのデトックスができるメニューを考案しました。

CLIENT

COSMETIC BRAND

BUSINESS SCOPE

  • MARKETING & PLANING
  • PROJECT MANAGEMENT
  • DESIGN DIRECTION
  • FOOD DEVELOPMENT
  • TABLE COORDINATION
  • PHOTOGRAPHER

    kouno masato (nacasa & partners)