JOHN

概要

この空間はコース専門のデザートレストランとして開発をサポートいたしました。

ひと月を単位にメニューが切り変わる、四季のある日本に相応しいコンセプトのレストランです。メニューはデザートのみではなく、フリットやスープを織り混ぜ飽きがこず、食べることで記憶を刺激するようなコースが提供されています。

オーナーは別のプロジェクトで商品を開発いただいた既知の仲でした。言語化タイプではなく感性が鋭いタイプであり、人が無理だと言っても自分で決めたらやるタイプ…だと私は思っています。(本人はどう思っているかわかりませんが…) 彼の意思が反映されたお店であることが重要だと思っており、マーケティングで分析する顧客志向…ではなく信じるコンセプトを体現するレストランなら集客は成功しビジネスは成立するとかNGあえてサポートしました。

時間の蓄積をデザインする

オーナー吉村氏との雑談で「時間を越えるような場所にしたい」というキーワードが生まれ、「何年も後に発見されたとしても古びていないもの、再発見・再発掘されたようなレストラン」を共通のイメージとすることで方向性が固まりました。イメージを反映するのは光とマテリアルだと考え、初期段階で左官や時間を重みとして感じる石を使うことを決めてプランニングを行いました。

左官については誰に依頼するかが重要でした。偶然見つけた平石氏の作風と表現の幅広さに感心し名古屋のショールームへ直接伺ってお話を聞きました。人柄がよく、実直。少し口下手なところのある平石氏とのやりとりで彼を信用し飲食スペースの壁面、デシャップカウンター、レセプションと重要なエリアをお任せすることになりました。

入り口すぐのレセプションカウンターは鋭角に削り出されたトラバーチンをイメージし左官していただきました。ムラ感と凹凸のテクスチャなど細かい打ち合わせを行い想像以上のものに仕上げていただきました。

飲食エリアの壁面は全て平石さんにお任せしました。私からは色味の指示、ざらざらの方が良い、土っぽいのが良いが民藝風にはしたくないという大雑把な内容で、藁が多めに入った昔ながらの土壁の表現を提案いただき、これが畑土にみえるので即決しました。藁が発酵することで土がどんどん固くなって強固になるのも商売的にとても良いイメージだと思いました。

厨房のデシャップは全ての要素の中で最初に決定した箇所です。版築のような地層を連想させるキーワードが最初にあり、そのイメージだけを平石氏へ共有、そこに時間の圧縮を表現していただきました。天板のみモールテックスを使用しましたが調理の補助台として機能性を損なわずに上質な表現ができたと考えます。

石についてはその時期に別のお仕事をご一緒していたエレガントウッドの石井社長のオフィスで使用されている伊達冠石が素晴らしく、ご相談したら大蔵山スタジオの山田社長をご紹介いただくことになりました。宮城の伊達冠石が採掘される山を案内いただき、時間を超越して今でしか見ることのできない姿やその荒々しさと磨き上げた際の光沢、自然の作った造形に感心し伊達冠石をステーションとして空間の中心で利用することに決めました。

写真では小ぶりに見えますが、実際に目の前に現れると良い意味での圧力があり、絶妙なサイズと形状、軽量化のための削りなど、山田社長のセンスでどの角度から見ても色気のある姿に調整いただきました。空間の中心にいることで「時間を越えるような場所にしたい」というスタート地点の想いが伝わる存在となりました。

アプローチと食事の場、2種類の空間意図

グレートーンからブラウントーンへの転換はレイアウトと連動しており、あえて心理的な境界を作る狙いがあります。2つの空間にまたがる体験が、観察から没入へと移行するスイッチとして静と動、明と暗のようにメリハリをつける役割を持っています。特にアプローチから通路は飲食店らしいシズル感のあるイメージをあえて裏切って、感情を変化させる装置となることを意識しています。

アプローチはギャラリー的な無機質さを意識しガラスブロックからの光の波や躯体のコンクリートが活かされるグレートーンを基調としています。アプローチは外部の雑多な街並みから心理的に移行し情報を減らして料理に集中できるよう、感覚をリセットするための前室として考えました。

区画の中央にある厨房の周囲に配置した洞窟のような通路、その先に温かい色と光で満たされた飲食エリアを配置。通路と同材の左官が続きますが照度差によって、通路から奥の空間がよく見えるようにしています

マテリアルは古材木、グリーンタイル、海外の厨房のような覗き窓付きのスイング戸など、有機的で飲食らしい雑多さで前室と差をつけています。

どの席からでも厨房がよく見えるよう、デシャップはフレームとして厨房開口を設計。ゲストは料理に集中しつつもシェフや料理人の動きを目の端でも追える。カウンターレストランにはないダイナミックさと座席による不公平感を極力減らせるように工夫しました。夜と昼では光の入り方が大きく変わる物件特性があり、昼夜で違った表情を見せる空間となっている。下記は全て夜の風景です。

CLIENT

JOHN

BUSINESS SCOPE

  • MARKETING & PLANING
  • PROJECT MANAGEMENT
  • SPACE DESIGN